• 11/09/2022
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デジタルワークフローを推進する先進的アニメスタジオが「Wacom MobileStudio Pro16」を試す!

現在『アニメ モンスターストライク』などを手がけるスタジオ雲雀とラークスエンタテインメントは、3DCGカットの制作に定評があり、かつ2D/3D含めワークフローのデジタル化などの取り組みにも積極的な、先進的アニメスタジオのひとつ。以前より液晶ペンタブレットを使ってきているというその所属クリエイターたちに聞けば、今回めざましい進化を遂げた最新クリエイティブタブレット、「Wacom MobileStudio Pro 16」の魅力が伝わるはずだ。

TEXT & EDIT_髙木貞武 / Sadamu TakagiEDIT_山田桃子 / Momoko YamadaPHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

現場に求められてきたサイズをついに実現

「ついに、"アニメの作画に最適"なものが出てきた、という感じです」。まずそう語ってくれたのが、スタジオ雲雀で2Dパート、作画を担当する宮原拓也氏だ。その最大の理由は、まず液晶ペンタブレットとしてのサイズ感にある。ひとつは、"作画用紙が画面内に収まる"かたちでそのまま置けること。そして、"場所を取らない"こと。既存の制作環境においては、デスクに透過ガラス部を置いた紙ベース用の作画デスクが必要であり、作画担当はそこをワークスペースとしている。13インチサイズでは小さすぎ、22インチ以上の大型筐体では、作業の取り回しの問題上、設置も難しい。16インチの本機種は、まさにアニメ制作現場にジャストサイズなのである。「さらに言えば、OSも搭載されたWindows PCそのものなのでケーブル類の散乱などもなく、取り回しが抜群にいいですよね」(宮原氏)。前機種となるCintiq Companion 2を使ってきた宮原氏にとってはそれも既に当たり前、といった感覚だが、制作環境がワンプロダクトで完結するというのは、手狭になりがちなワークスペースの有効活用を考えるにあたっては、大きなアドバンテージとなる。デスクから簡単に動かせる、持ち出せるといった手軽さがプラスされるだけで、打ち合わせやチェック業務はもちろんのこと、多人数で共同作業を行うアニメ制作の現場では、思いもよらないプラスアルファの効果も生まれてくるだろう。

スペック上だけではない、触れればわかる"感覚的進化"

もちろん本機の進化は、ジャストなサイズ感だけに留まらない。スペックだけを見てみても、筆圧感知レベルは4倍(8,192レベル)、画面解像度は4K対応(3,840×2,160)、PCとしても外部GPU(NVIDIA Quadro)を搭載し、3D描画性能も格段に向上している。ただそれ以上に注目すべきなのは、今回レビューをしてくれた3名ともが、触れてすぐに"体感として良くなった"と評した事実だろう。「なんと言えばいいのか......描き味が明らかに良いのもあるんですが、ペンを動かしてついてくる感じとか、違和感のなさとか。色味の見え方も鮮やかになったし、総じて疲れにくくなったというか」。そう語るのは、ラークスエンタテインメントでCGIを担当する宮岡将志氏。宮岡氏はここ10年来、3DCGのテクスチャリングやスカルプティングにおいて液晶ペンタブレットを利用するヘビーユーザーでもあり、その評価は注目に値する。「10年使ってきた身としても、今回のグレードアップ感はすごい」(宮岡氏)。

 デジタルワークフローを推進する先進的アニメスタジオが「Wacom MobileStudio Pro16」を試す!

この"良くなった"ポイントをプロダクト的に紐解くと、液晶パネル、ペン、そしてその制御ソフトに至るまで、本機種において劇的な進化を遂げている、ということに起因するだろう。液晶画面では、4K解像度の高精細さに加え、Adobe RGBカバー率の向上(Cintiq Companion 2:75%→本機:94%)が示すとおり色味の表現がより自然となった。またペンセンサーの刷新やプロダクトそのものの洗練により、液晶画面とペン先との視差が小さくなったほか、画面端部分でのポイント精度も大幅に向上、より自身の脳が目と手の動きで認知する情報として、自然な方向へと大きく改良されているのである。「使い勝手、触り心地ともに申し分なく、あとは3DCGとしてはアプリケーション側で4K表示用UIに対応させてくれれば(苦笑)」と語るのは、ラークスエンタテインメントでモデラー/CGIの鈴木真一氏。高解像度環境においてUIボタン表示が小さくなってしまう、CGソフトサイドの問題点ではあるが、制作環境としては重要なテーマである。だが、それも今の4K液晶の普及速度から考えて、そう遠くない時期に実現するはずだ。

スタジオ雲雀とラークスエンタテインメントでは、2017年以降にはワークフローとして作画のフルデジタル化を目指しているという。先進的な取り組みを続けるアニメスタジオも待ち望んだという、16インチタイプのクリエイティブタブレット。Wacom MobileStudio Pro 16は、そのジャストなサイズ感とともに、体感的に違いを感じるレベルの性能的進化によって、制作環境を次世代のものへと引き上げるプロダクトとなるだろう。

INFORMATION

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TOPIC 1複数の性能向上がもたらす自然な作画感と描き味

「ストロークがなめらかになり、描き心地が向上しましたね。目に入っている情報とペンの位置、それから触れている距離感、その総合的なもので良くなっている」。そう宮前氏が評する、Wacom MobileStudio Pro 16におけるペンを走らせた際の好印象。これは、ペンが良くなった、画面が4Kになった、といった部分部分でのスペック向上によるものではなく、ハードウェア全体がバランス良く進化した結果によるもの。もちろん、16インチサイズによる作業時の効率アップもそうした印象に一役買っている。「13インチのときは、CLIP STUDIO PAINTで表示させるメニューを厳選していて、本当によく使う機能以外は全部画面外に消して作画していました。それがこの16インチだと、メニューを残していても描けるんですよ。これは楽。それと画面に余裕があるので、レイヤー表示数が増えるのもいい。作画の場合、ラフをいっぱい描いてレイヤーをどんどん積み重ねて作業していくんですが、13インチだと縦の画面解像度に余裕がなく、レイヤーが増えるとスクロールしないと何があるかわからなくなってくる。レイヤー表示が多くなるだけでも、作業効率はかなり上がります」(宮前氏)

TOPIC 2初めてのデジタル作画にも向いている使いやすさ

宮前氏は、「作画のベテランの方でデジタルを始めてみたい、そんな人にも向いているのでは」とWacom MobileStudio Pro 16を評する。「何よりまず、作画用紙がそのまま入るサイズ、というのはとっつきやすいはず。あとはPCとしてオールインワンであることと、左手用のエクスプレスキーとタッチリングの使いやすさ、スマホで慣れている指でのマルチタッチジェスチャーにも対応しているところですね。究極的に言うと、作画で左手ショートカットとして使いたい機能は、"拡大/縮小"と"前後のレイヤー移動"。これだけでもいい。このあたりを、本体のキー類ですごく直感的に操作できるので、難しいこと覚えるのはちょっと、という人にも勧めやすいです」(宮前氏)

TOPIC 3サイズアップにより3DCGでの使用も視野に

Windows PCとしても、Quadroを搭載して高い3D描画性能も獲得したWacom MobileStudio Pro 16では、16インチと画面サイズがアップしたことにより、CG業務での活用も視野に入る。「普段はすべての画面を視野に入れて作業したいので、デュアルディスプレイに通常のペンタブレットで作業しています」という鈴木氏だが、16インチサイズになってくると、「作業領域拡張用に外部モニタを使うなどの2画面化をすれば、かなり利用は現実的になってくる」と評する。感覚的な描き味が向上したこともあって、液晶ペンタブレットを使うことのメリットも感じられるとのこと。Adobeツールは4K対応UIが整ってきているためテクスチャ制作にすぐにも活用できるほか、ZBrushによるスカルプティングにも向いた利用用途となるだろう

PRODUCT INFORMATION

Wacom MobileStudio Pro 16パワフルなモバイルスタジオで創造力を解き放つ

外出先でも自由でクリエイティブな制作環境が必要なプロクリエイターのニーズに応えた、小型軽量でパワフルなWacom MobileStudio Proは、これまでの4倍の精度と筆圧レベル、また最高レベルの応答速度を持つペンテクノロジーにより、今までにない表現力と描き味を提供する。この最新ペンテクノロジーを採用した「Wacom Pro Pen 2」に加え、解像度・グラフィック性能・色精度の大幅な向上と3Dカメラの搭載を実現し※、3Dコンテンツ制作や3Dモデリングの効率向上に貢献。Wacom MobileStudio Proはイラスト、グラフィック、写真などの2Dのみならず、3Dデザインやモデリング、CADなどのクリエイティブ制作に最適な究極のツールだ。※製品ラインアップにより搭載機能は異なる

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