• 27/06/2022
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令和4年度市政運営方針

令和4年3月市議会定例会における広瀬慶輔市長の市政運営方針です。(令和4年3月1日)

本日、3月市議会定例会に当たり、令和4年度の「市政運営方針」を申し上げます。

1 はじめに

はじめに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々、その御遺族にお悔やみを申し上げますとともに、現在も療養されている皆様、その御家族にお見舞いを申し上げます。

また、感染リスクに向き合いながら、最前線で御尽力いただいている医療従事者の皆様を始め、暮らしに欠かせない職務に従事されている多くの方々、感染症対策に御協力いただいている市民及び事業者の皆様に、改めて感謝の意を表します。

新型コロナとの闘いが2年を経た今も収束には至らず、人々の生活、健康、社会経済に大きな影響を与え続けています。昨年末からは新たな変異株であるオミクロン株が国内で確認され、これまで経験したことのない急激かつ爆発的な感染拡大となるなど、今なお予断を許さない状況となっています。

こうした中、本市では、災害時レベルの認識の下、激増する感染者等への配食サービスの維持など、市民の皆様の命と暮らしを守ることを最優先とした感染症対策に取り組んでまいりました。今後におきましても、常に最悪の事態を想定して、感染拡大の防止と生活を守るための支援に引き続き取り組んでまいります。

新型コロナの発症や重症化を防ぐために、ワクチンの接種が有効です。昨年4月20日からスタートした本市でのワクチン接種においては、ワクチンの供給が不安定な状況の中、「子どもの命を守る」「施設を守る」観点から、市独自の「寝屋川モデル」を構築し、高齢者施設入所者、保育士・教員、妊婦など細かな区分に基づく優先接種を実施するとともに、接種順位の見える化を図るなど、市民の混乱を防ぎ、不安の解消に努めてまいりました。医師会を始めとする三師会の皆様など多くの方々の御協力の下、円滑に接種を進めることができました。2回目接種を終えた方の割合は対象者全体の8割を超え、当初目標の7割を大きく上回る接種率となりました。現在実施している3回目の接種に当たりましても、希望する全ての方が適切かつ円滑に接種していただけるよう、万全の体制を確保してまいります。

この間の新型コロナへの対応を通じて、改めて強く感じたことがあります。それは、寝屋川市民の温かさと絆の深さ、そして地域力の強さです。新型コロナという未曽有の災害により、大変厳しい状況にあるにもかかわらず、多くの市民や企業・団体などからマスクや消毒液などたくさんの御寄贈をいただきました。また、懸命に感染症対策や支援事業に取り組む市職員に対し、感謝や激励など心温まる言葉を寄せていただきました。さらに、地域では、これまでのような活動ができない中で、一人暮らし高齢者の戸別訪問の実施など、地域のつながりを継続するための活動に取り組んでいただきました。

皆様の支え合う気持ち、思いやりの気持ち、そして絆の力を持って感染症に立ち向かえば、必ずやこの困難を乗り越えていくことができると私は確信しています。市民の皆様の御協力の下、一日も早く日常生活を取り戻し、新たな未来に向かって力強く前進していくため、全庁一丸となって対策を進めてまいります。

昨年を振り返りますと、東京で1964年以来となるオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されました。オリンピック史上初となる開催の延期、また、コロナ禍での無観客という逆境にもかかわらず、全力でチャレンジするアスリートたちの姿は、日本のみならず世界中の人々に感動と勇気を与えてくれました。私自身、厳しい練習に耐え、国を代表する重圧の中にあっても、精一杯戦う選手たちの姿に胸を熱くしたことを今も鮮明に思い出します。その姿を自分に重ね、自らの重責を全うし、市民の皆様に「このまちに住んで良かった」と言っていただけるよう、いかなる困難があっても挑戦し続ける決意と覚悟を改めて強くいたしました。

さて、我が国の人口は、かつて経験したことのない減少時代に突入しています。日本の総人口は2008年をピークに減少が続き、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、2050年頃の総人口は1億人を下回ることが予測されています。

この状況は本市もまた同様であり、国勢調査では平成7年の約26万人をピークに、令和2年は約23万人と減少が続く状況となっています。

こうした中、令和3年11月1日時点の本市人口は、前月比で99人の増加となり、さらに令和4年1月1日時点では、前月比78人の増加となりました。月単位での同規模の人口増加は、平成26年11月以来、7年ぶりのことであります。その増加要因は、本市にお越しいただいた転入者が増加したことであり、特に打上元町及び打上高塚町といった寝屋川公園駅周辺の人口が増えたことが主な要因でした。

私は就任時に、「京阪軸」と「学研都市軸」のまちづくりを進める「2軸化構想」を提唱し、子育て世代を中心とした若い世代を呼び込むことで、人口の年齢構成のリバランスを図り、まちの持続可能性を高めていくことを提案いたしました。転入者の誘引は一朝一夕に成し得るものではありませんが、人口増加という形で変化の兆しが表れたことは、これまでの取組への確かな手応えを感じるとともに、より積極的に子育て世代を誘引するための取組を進めていかなければならないとの思いを強くしたところでございます。

引き続き、「第六次総合計画」が目指す「選ばれるまち」の実現に向け、計画に基づく各施策を着実に推進してまいります。

2 まちづくりの基本方針

新型コロナの拡大は、人々のライフスタイルや意識に様々な変化をもたらしました。これまでの常識が一変し、中でも社会や経済のデジタル化の進展は、今後、社会変革につながる可能性を秘めています。

時代は今、大きな転換期にあります。こうした状況は、本市が更に飛躍するための転機でもあり、今後の市政の舵取り次第で、チャンスを引き寄せ、新たな未来を切り拓いていくことができると考えています。

令和4年度は、本市が更なる進化を遂げるための極めて重要な年であるとの認識の下、これまで積み上げてきた実績と成果を基礎として、スピード感を持って新たな取組に挑んでまいります。

以上の考えを基本として、令和4年度は次の5項目をより重視した施策展開を図ってまいります。

第一は、「危機事象から市民を守り抜く」であります。

新型コロナは、変異株の種類が世界規模で増加し、感染地域も変化し続けており、いまだ収束の見通しは明らかではありません。

引き続き、市民の命と暮らしを守ることを最優先として、保健所を有する中核市の権限を効果的に活用した感染症対策に取り組むとともに、国や大阪府、医療機関等と連携を図る中で、3回目のワクチン接種を適切に進めてまいります。

その上で、市民の交流やコミュニケーションの場の再開、営業自粛などにより落ち込んだ市内経済の回復に向けた取組など、感染防止と社会経済活動の両立に向けた取組を進めてまいります。

近年、増加傾向にある風水害や、発生リスクが高まる南海トラフ巨大地震などの自然災害に備え、引き続き、防災・減災対策の強化を図っていかなければなりません。市民の皆様に緊急情報をより迅速かつ確実に伝えるため、防災行政無線によるサイレン放送を導入するとともに、備蓄物資の確保や自主防災組織の充実・強化を図るなど、危機事象から市民を守り抜くまちづくりを進めてまいります。

第二は、「まちの未来を拓く魅力の創出」であります。

本市の玄関口である寝屋川市駅前の風景が少しずつ変わり始めています。

昨年8月、市駅前に新中央図書館をオープンいたしました。開館から僅か3か月足らずの間に10万人を超える方々に御来館いただき、図書館のコンセプトである「第三の居場所・サードプレイス」として新たな価値の提供につながっているものと考えています。

また、将来の市民負担の軽減を図るため、今後の公共施設の総量抑制、及び維持管理費や更新費用の抑制を見据える中で、10月末には、大阪電気通信大学駅前キャンパスを取得し、(仮称)駅前庁舎としての活用と合わせて、施設・機能・サービスの再配置と集約化に向けた検討を進めてまいりました。

こうした取組を着実に進める中で、令和4年度は、「2軸化構想」及び「ターミナル化構想」の実現に向けた大きな山場を迎えます。

「2軸化構想」については、寝屋二丁目・寝屋川公園地区の土地区画整理の事業化に向けた取組を進めるとともに、新たに国松地区をポテンシャルエリアに加え、構想の実現に向けた取組を進めてまいります。

また、まちの象徴となる第四中学校区施設一体型小中一貫校の令和5年度中の開校に向け、着実に整備を進めてまいります。

「ターミナル化構想」については、(仮称)駅前庁舎の活用方法に関し、市民の利便性の向上及び将来のデジタル技術の進展のほか、行財政のダウンサイジングをも考慮し、利活用の在り方と施設整備の方針について一定の方向性を取りまとめました。(仮称)駅前庁舎の整備に当たっては、更なる市民サービスの向上とまちの発展につなげるべく、取組を進めてまいります。

さらに、アドバンスねやがわ2号館3階における(仮称)こども専用図書館の開設に向けた取組を進めます。親子でゆっくりと過ごせて、何度でも行きたくなる空間を創出するとともに、子どもの学びと成長を支援する施設として整備してまいります。

こうした新たな施設が市の魅力を更に高め、本市ならではの強みや独自性を創出することで、市民の誇りと市外からの憧れを醸成し、「選ばれるまち」への成長を加速してまいります。

第三は、「デジタル時代を見据えた行政の在り方の変革」であります。

新型コロナの拡大により、社会・経済のデジタル化が急速に進展しました。その一方で、行政手続の多くが「書面・押印・対面」を基本とするなど、期せずして行政のデジタル化の遅れが浮き彫りとなりました。

本市におきましては、デジタル化に関わる組織横断的な議論をスピード感を持って具現化するため、新たに「DX推進室」を設置するとともに、昨年4月に策定した「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、行政手続のオンライン化を積極的かつ計画的に推進し、市民サービスの向上と誰もが利便性を実感できる環境の構築を図ってまいります。

また、AIやRPAを始めとした新たなデジタル技術の活用を進め、業務の効率化・省力化を図ることで、職員の働き方改革を加速してまいります。

こうしたデジタル化の取組を推進するとともに、あらゆる世代がデジタル化の恩恵を享受できるように配慮する中で、進化した「スマートねやがわ」の実現に向け、全庁を挙げて行政の在り方の変革にチャレンジしてまいります。

第四は、「子ども・子育てに最善を尽くす」であります。

次代を担う子どもたちは、寝屋川市にとってかけがえのない財産です。子どもたちが将来に夢と希望を持ち、社会全体で健やかな成長を見守り、支え、喜び合うまちづくりを進めていかなければなりません。

私は、就任当初から「子どもに最善を尽くす」という強い信念の下、分野横断的に子どもを守り育てる取組を進めてまいりました。寝屋川教育の推進を始め、自主登校園制度、選択登校制と授業のライブ配信、多胎児家庭への支援、子どもの受動喫煙を防ぐ条例の制定、市独自のいじめ防止対策など、子どもと家族に寄り添った取組を積極的に実施いたしました。これらの多くは、先進的な取組としてメディアで取り上げられ、全国の自治体から視察にも来ていただくなど、社会課題の解決につながる寝屋川水準の施策を推進することができたと考えています。

引き続き、子どもと子育て家庭を全力でサポートすることを基本として、昨年設置した「子育て・教育総合支援本部」と関係部署が連携し、安心して子どもを産み、育てることができる環境づくりを進めてまいります。

また、就学前教育・保育を拡充し、0歳から15歳まで連続した質の高い教育・保育を実践することで、自らの人生を切り拓き、夢に向かってたくましく、生き抜く力を持った子どもの育成を目指してまいります。

学校における教職員の長時間勤務が全国的な課題となっています。これまで、教職員の情熱や使命感による献身的な教育活動により、子どもたちの成長は支えられてきました。しかしながら、学校や教職員への多様な期待は、教職員の長時間勤務という形で表れており、こうした状況の常態化は、教職員の健康や生活に支障を及ぼすとともに、教育の質の低下にもつながる可能性が高いものと考えています。

本市が進める「寝屋川教育」の確立のためには、教職員の働き方改革の早期の実現が不可欠です。教職員の長時間勤務の縮減を図るため、保護者とオンラインで情報共有できるアプリの活用や教職員間におけるチャット機能の導入など、デジタル技術を活用した業務効率化を進めるとともに、部活動指導員や支援人材を計画的かつ積極的に活用するなど、教職員が子どもの指導に専念できる環境を構築し、子どもたちにより質の高い教育を提供します。

第五は、「地域のつながりの強化と再構築」であります。

本市には、性別や年齢、国籍、文化の違い、障害や疾病の有無など、多様な人々が暮らしています。一人一人が違いを認め合い、地域の中で充実した生活を送ることができるよう、地域全体がつながりと信頼を深め、支え合う社会を築いていくことが重要であると考えています。

新型コロナの感染拡大に伴い、外出自粛やリモートワークが続く中、孤独や孤立が社会的に大きな課題となっています。コロナ禍という危機の中で、人と人との「つながり」が、心の健康を保ち、幸せを高めてくれる極めて大切なものであることを、私たちは改めて気付かされたと感じています。

地域のつながりが今こそ求められています。市民の皆様との協働の下、支援を必要とする方への見守りや相談支援、交流の場・居場所の確保など、人とのつながりを実感できる地域づくりを推進し、子どももシルバー世代も、障害のある方も、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるまちづくりを進めてまいります。

3 令和4年度の主要な施策

令和4年度の当初予算につきましては、いまだ新型コロナ収束の見通しは不透明であり、最悪の事態を想定した感染症対策及び支援の継続を前提として、PCR外来による検査体制の維持や、無症状者が自主的に行う検査費用の助成、濃厚接触者等への配食・買物支援サービスなど、引き続き感染症対策を実施してまいります。とりわけ、感染症の発症予防と重症化リスクを低減するため、ワクチン未接種の方や3回目の追加接種を受けられる方が、適切に予防接種を受けていただけるよう、国や府、関係機関等と連携しながら、万全の体制で取り組んでまいります。

それでは、令和4年度の主要な施策につきまして、御説明申し上げます。

子育て・教育

「子育て・教育」に関する施策でございます。

妊婦の心身のケアや育児のサポートなどを行う産後ケア事業について、新たに居宅訪問(アウトリーチ)型の支援を導入します。

産後うつの予防や育児不安の解消を図るため、MY CITY助産師と子育て世代包括支援センターの連携による訪問指導等の支援を行うとともに、妊婦健康診査の助成回数を拡充するなど、「子育て応援事業」を推進します。

令和4年度市政運営方針

多胎妊婦や多胎児を持つ家庭が安心して出産・育児ができるよう、訪問指導の充実やタクシー乗車券の交付などの支援に加え、多胎妊婦に係る妊婦健康診査の助成回数を更に拡充し、多胎児家庭を支援します。

子育ての負担感などからリフレッシュが必要と保健師等が判断する保護者に対し、一時預かり保育を無料で利用できる「(仮称)子育てリフレッシュカード」を配布します。子育て支援の最前線で業務を担う保健師等の裁量により、迅速かつ適切な支援につなげることで、保護者の負担や孤立感の軽減を図ります。

母子健康手帳の電子化や子育て情報の配信、子どもの成長記録の管理など、子育てをサポートする機能を有する母子健康手帳アプリを導入し、ICTを活用した子育て支援の充実を図ります。

保育所等における保護者及び保育士の負担軽減を図るため、長年、保護者等の強い要望であった使用済み紙おむつの持ち帰りを不要とする「(仮称)バイバイおむつ事業」を実施します。

民間保育所等が医療的ケア児を受け入れることができるよう、専門職員の配置や研修の受講など受入体制の整備に係る費用を補助し、医療的ケア児の地域における支援体制の構築を図ります。

子どもの命と尊厳を守るため、引き続き、3段階アプローチによるいじめ対策を推進するとともに、被害者の弁護士費用や転校に係る費用の支援に加え、被害者所有物に損害があった場合の原状回復に要する費用を支援します。

教育関係者や全国の自治体の長、被害者などが一堂に会し、いじめ問題について意見交流等を行う「いじめ対策サミット」を開催し、子どもたちを守る取組の更なる推進を図るとともに、いじめ問題の解決に向けたネットワークの構築を図ります。

本市独自の就学前教育・保育の構築に向け、令和3年度に実施した調査・研究の成果を踏まえ、就学前のプログラム及び教材の作成を進めます。

第四中学校区施設一体型小中一貫校の令和5年度中の開校に向け、校舎棟建設工事等を着実に推進します。

更に温かくおいしい給食を子どもたちに提供するため、拡大親子方式への移行に向け、拠点集約型調理場の整備及び既存給食調理場の増築・改修を進めます。

現在、小学4年生まで実施している少人数学級について、対象を小学5年生まで拡充し、よりきめ細かな学習指導・学級指導につなげます。

社会的な課題である教職員の働き方改革を推進するため、市立中学校に部活動指導員を派遣する種目別拠点校を計画的に拡充するとともに、部活動の選択肢を増やすことで、生徒のニーズに応じた部活動を推進します。

図書館資料を有効かつ効果的に活用し、子どもたちの考える力を育む学習環境の更なる充実を図るため、学校への中央図書館図書の配送に加え、児童・生徒のタブレット端末で予約した図書館図書を学校へ配送するサービスを開始します。

昨年8月にオープンした中央図書館に続き、(仮称)こども専用図書館の令和5年オープンを目指し、着実に施設整備を進めます。

文化・芸術活動の成果発表や体験の機会を提供する「寝屋川文化芸術祭」において、プロのオーケストラによる公演を開催し、コロナ禍で停滞を余儀なくされる市民の文化活動の振興を図ります。

都市基盤・産業

次に、「都市基盤・産業」に関する施策でございます。

寝屋二丁目・寝屋川公園地区における土地区画整理の事業化に向けた取組を進めるとともに、新たに国松地区をポテンシャルエリアに加え、「2軸化構想」の着実な進捗を図ります。

寝屋川公園駅周辺の魅力あるまちづくりを進めるため、小中一貫校の建設と合わせて、寝屋川公園駅西側広場の整備を進めます。

市民サービスの提供を駅周辺に集約する「市民サービスのターミナル化」を推進するため、(仮称)駅前庁舎の開設に向けた取組を着実に進めます。

住環境の改善及び土地利用を促進するため、空き家の除却費用の助成に加え、旧耐震基準及び耐震性が不足する木造住宅の除却費用を支援します。

デマンドタクシーによる乗合い事業について、更なる公共交通空白地域への拡大に向け、交通事業者や地元自治会等との協議を進めます。

都市計画道路対馬江大利線の令和6年度末完成に向け、用地取得等を引き続き進めるとともに、橋梁拡幅工事及び道路整備工事の着実な進捗を図ります。

打上川治水緑地をより魅力ある公園として有効に活用するため、パークマネジメントプランを策定し、更なる集客力の向上を目指します。

また、季節に応じたパークイベントとして「(仮称)ねやがわパーク」を開催し、地域経済の活性化を図ります。

農地の貸し手と借り手を結ぶマッチングや、貸農園の整備に係る助成制度の創設など、農地の保全を推進します。

危機管理

次に、「危機管理」に関する施策でございます。

子どもを始め市民を犯罪から守るとともに市内の犯罪抑止を図るため、小中学校の夏季・冬季休業期間などにおいて、引き続き、夜間の防犯パトロールを実施します。

市域の犯罪認知件数の減少及び治安の向上を図るため、犯罪学研究センターの提案による科学的なエビデンスに基づく効果的な防犯施策の立案を進めます。

災害時における避難者の不安を少しでも軽減できるよう、計画的に備蓄品を配備するとともに、要配慮者にも寄り添ったきめ細かな非常用物資の充実を図ります。

災害時等において、市民へ迅速かつ確実に情報を届けられるよう、防災行政無線を活用したサイレン放送を導入するとともに、その運用方法の市民への周知を徹底します。

本市西地域の浸水対策の根幹施設として、古川雨水幹線バイパス管工事を計画的に進めるとともに、旧国道170号以西地域への雨水の流出抑制を図るため、高宮ポンプ場整備事業の着実な進捗を図ります。

平和で安心して暮らせる人権尊重のまちづくりを推進するため、「(仮称)人として当たり前に生きる権利を考えるつどい」を開催します。また、いじめ問題は子どもの人権に関わることとの認識の下、「いじめ対策サミット」との同時開催とすることで、より効果的な啓発を図ります。

福祉・健康・環境衛生

次に、「福祉・健康・環境衛生」に関する施策でございます。

短期集中通所型サービスにおいて、介護度の改善に効果的な支援を行う事業所への表彰制度を新たに設け、好事例等を広く共有し、事業所間での横展開につなげることで、要支援認定者の生活機能の向上を図ります。

障害福祉計画の重点項目に位置付ける親亡き後の問題について、課題の抽出や解決策などを検討するため、学識経験者や障害福祉サービス事業者等で構成する検討委員会を設置し、議論を進めます。

子どもの健康を受動喫煙から守るため、路上喫煙禁止区域において、引き続き巡回啓発を行うとともに、駅周辺の喫煙所の増設や「(仮称)寝屋川市版喫煙ルール五か条」の制定など、更なる受動喫煙対策を推進します。

難病患者のレスパイト入院に係る費用の助成制度を新たに創設し、在宅療養を支援するとともに、病院での受入れを経験していただくことで、災害時の円滑な避難行動につなげます。

災害時の医療需要の急増に適切に対応するため、市災害医療センターを現在の保健福祉センター休日診療所から市内病院4か所に変更し、より迅速に医療を提供できる体制の強化を図ります。

ごみ減量の促進や地域美観の向上を図るため、市民と共に取り組める工夫を凝らした啓発活動を行うとともに、地域の皆様の御協力を得ながら美しいまちづくりを推進します。

自治体経営

次に、「自治体経営」に関する施策でございます。

民間企業等において第一線で活躍する高い専門性を持つ“複業”人材を招へいし、既成概念にとらわれることなく、より効果的に業務改革を推進します。

AIやRPA等のデジタル技術の活用を促進し、業務の省力化を更に進めるとともに、「働き方改革推進プラン」に掲げる目標の達成に向け、引き続き業務の効率化と標準化を推進します。

「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、行政手続のオンライン化を推進するとともに、(仮称)駅前庁舎でのデジタル技術を活用した市民サービスの充実について、前例や固定観念にとらわれることなく“市民の事情”を最優先としたサービスの在り方の検討を進めます。

また、65歳以上の市民を対象にスマホ教室を引き続き開催し、デジタル・デバイドの解消に向けた取組を進めます。

タウンミーティングの開催や転出入モニターアンケートの実施など市民の声を的確に把握し、ニーズに即した新たな施策・事業の立案につなげます。

「みんなのまち基本条例」について、前回検証から5年が経過することから、検証委員会を設置し、条例の内容が社会情勢に適合しているかなどの検証を行います。

財源の確保と地域産業の活性化を図るため、ふるさと納税ポータルサイトの拡充や記念品の増加に資する取組など、寄附金の更なる確保に努めます。

4 結び

令和元年5月末に市民の皆様からの信任を受け、市長に就任してから来年度は4年目となる区切りの年となります。

私はこの間、様々な政策を通じて中核市となった寝屋川市の「都市格の向上」と「市民プライドの醸成」を、一つの大きなテーマとしてきました。そのことが人口減少・高齢化という大きな課題を抱える本市が、これからも持続可能な経営を行っていくために不可欠な「子育て世代の誘引」につながるとの思いからです。

寝屋川市には今「変化」が必要なのです。「変化なくして成長なし」という言葉がありますが、私は「変化なくして安定なし」だと考えています。全国的な人口減少のトレンドの中で、「安定」を求めるならば、寝屋川市は、余力のある今、「大きな変化」に挑戦しなければなりません。

ターミナル化構想に代表されるように、コンパクトで利便性の高いまちづくりが必要です。これは市民の利便性を獲得するのと同時に、公共施設の集約化の実現につながり、それは維持・管理コストという将来の市民負担の軽減につながります。

また、新中央図書館に代表される「新たな価値」の提供は、コンパクト・低コストながらも市民の期待を高めます。

世界的建築家の隈研吾氏がプロデュースする小中一貫校に代表される学研都市軸の新たなまちづくりは、「子育て世代の住むまち」として本市の新たなイメージを創り出すでしょう。

ソフト面では、全国から注目される「いじめゼロへの新アプローチ」は、市内の子どもたちを守るのと同時に、本市の「子どもたちに最善を尽くす」というメッセージを市外の子育て世代にも広く周知することになるでしょう。

また、ディベート教育を始め、就学前から一貫した「寝屋川教育」の実現は、いじめゼロの教育環境と相まって、子育て世代への訴求効果を生み出します。

ハードとソフトの両面から、「新たな時代の市民サービス」の在り方を世に問うていこうと思います。

私はよく「寝屋川水準」の政策立案という言葉を使います。これは市民サービスの「本質的な問題」を見付け出し、既成概念にとらわれることなく因数分解し、再構築をすることで生み出されるもので、市民サービスの在り方に大きな変化をもたらすにとどまらず、寝屋川市の取組が他の自治体のスタンダードになり得るレベルの政策です。「寝屋川水準」の政策立案は、市民生活を豊かにするのみならず、本市のブランドを高めます。

繰り返しになりますが、寝屋川市は、余力のある今、「大きな変化」に挑戦しなければなりません。

変化は怖いものです。多くの経営者は変化を嫌います。職員の働き方改革では、働き方に大きな問題があると分かっていても慣れ親しんだやり方を手放すのを嫌います。今、本市に求められている変化は、「改善」ではなく、新たな価値を生む「イノベーション」だと私は信じます。

大きな挑戦になるでしょう。この挑戦には、市民、議会、そして職員の協力が必要です。皆様と共に力を合わせて、寝屋川市の魅力を更に高め、新たな未来を切り拓いていくため、全身全霊を込めて市政執行に臨んでまいります。

令和4年度当初予算案

令和4年度当初予算案につきましては、

一般会計

998億7,000万円(対前年度比9.9パーセント増)

特別会計(国民健康保険特別会計 外4特別会計)

541億8,700万円(対前年度比2.6パーセント増)

公営企業会計(水道事業会計及び下水道事業会計)

178億 700万円(対前年度比5.7パーセント減)

合計

1,718億6,400万円(対前年度比5.7パーセント増)であります。

議員並びに市民の皆様におかれましては、格段の御支援・御協力をいただきますよう、心からお願い申し上げます。