• 13/12/2022
  • Homesmartjp
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経済・IT スマート化がとまらない超便利な「家」の未来

みなさんは、スマート家電をお使いだろうか?「OK Google」「Alexa(アレクサ)」「ねぇCLOVA(クローバ)」。声をかけると反応してくれる、AI内蔵のスマートスピーカーは、スマート家電の代表的なものだ。わが家にも小さいものがあり、天気予報を聞いたり、茹で時間を計ってもらったりしている。

スマート家電の所有率TOP3は?

「スマート家電」とは、スマートフォンやタブレットと連携したり、インターネットに接続したりできる家電のことだ。専用アプリを使って、スマートフォンでリモコンのように家電を操作することもできる。

スマート家電について、リビングテック協会が利用実態を調査している。スマート家電を所有している人の所有率を見ると、ナンバーワンは「スマートスピーカー」(46.9%)だ。機械音痴の筆者でも使っているのだから、当然の結果だろう。

2番目は「お掃除ロボット」(35.2%)で、これも筆者が持っているものだ。3番目が「スマートライト」(24.6%)、4番目が「スマート家電コントローラー」(20.4%)、5番目が「ネットにつながるエアコン」(19.2%)という結果だ。

なお、「スマートライト」とは、インターネットに対応した照明器具で、スマートフォンやスマートスピーカーから遠隔操作・音声操作できる。中には、照明の明るさや色を調整できるものもあるようだ。

また、「スマート家電コントローラー」は、通常は家電ごとにそれぞれリモコンがあるが、それらをまとめてスマートフォンでコントロールするもの。外出先からエアコンや照明のオンオフができたりもする。

スマート家電を利用するメリットはどんなことだろうか?「どのような点で利便性が上がったか、どのような効果を感じているか」の調査結果を見ると、「音声操作」(32.3%)、「家事負担軽減」(31.5%)、「遠隔操作」(30.9%)が上位に挙がった。

音声操作や遠隔操作は、インターネットでつながるこそのメリットだが、家事負担の軽減効果もあるのだという。どんなことができるのだろうか。

実は、スマート家電をスマート(⁉)に活用している人が筆者の知人にいる。どう活用しているか聞いてみた。

共働きで子どもがいる多忙な彼女は、お掃除ロボットも使っているし、スマートスピーカーは自宅に2種類4台も設置している。スマートスピーカーは、気分転換したいときに音声操作でラジオや音楽を流したりと、よくある使い方はもちろんのこと、子育てのシーンでも活用しているという。

例えば、スマートスピーカーのリマインド機能を使って、子どもの外出時間に持ち物に漏れがないか音声でリストを読み上げるように設定したり、子どもの寝る時間に子ども部屋に設置したスマートスピーカーから歯磨きや就寝を促すアナウンスが流れるように設定したりしている。また、スマートスピーカーの本の読み聞かせ機能を使って、子どもに絵本を読み聞かせるなど、子育てのサポート役として使いこなしている。

スマートスピーカーは、スマート家電のハブとしても使っているそうで、寝室の照明のオンオフや調光をしたり、エアコンやテレビのオンオフを音声操作している。これなら、仕事をしながら、家事をしながら、いろいろなことができる。

ほかにも、洗面所の「スマートコンセント(スマートプラグ)」を使って、外出した後に出がけに使ったヘアアイロンなどの切り忘れをしていないか確認したり、不在時には猫の餌やりに「リモート給餌機」も使っている。

利用したいシーンに応じて、こうしたスマート家電を使いこなせば、便利なことこのうえないと驚くばかりだ。

住宅のHEMSと連携すればもっと便利なIoT住宅に

住宅内には、家電だけでなく、給湯器や床暖房などの住宅設備も多い。スマート家電に加えて、HEMSを利用すればもっと便利になるという。

経済・IT スマート化がとまらない超便利な「家」の未来

HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略。住宅内の電気やガスなどのエネルギーを見える化したり、エネルギー使用量を節約するために機器を自動制御したりするものだ。

近年は、太陽光発電システムや蓄電池など、発電や蓄電をする機能を備えた住宅設備機器を備える家庭も増えているので、その役割はますます重要になっている。

一方HEMSは進化を続け、エネルギー関連の機器やエアコンなどの家電だけでなく、スマートスピーカーや電気錠、電動窓シャッターなどの住宅用機器とも連携できるようになっている。

HEMSを使って創エネ、畜エネ、省エネなどをコントロールする住宅は「スマートハウス」と呼ばれていたが、「IT(情報技術)を使って暮らしを便利にできる住宅」へと進化したことで「IoT(Internet of Things)住宅」とも呼ばれるようになっている。

IoT住宅の仕組み

そこで、リビングテック協会の会員企業であるパナソニックに、その仕組みについて聞いてみた。パナソニックのHEMS(商品名は「AiSEG2(アイセグツー)」)は多様な機器と連携ができるという。

(画像:パナソニック)

HEMSで、異なるメーカー間の機器を連携させるための規格としてECHONET Lite(エコーネットライト)規格がある。

ECHONET Liteとは、異なるメーカーの家電機器を接続して、遠隔制御やモニタリングするための通信規格で、国際標準規格としても承認されている。ECHONET Lite規格の商品であれば、メーカーが異なる商品でもHEMSで相互に連携できる(メーカー相互で接続確認したものが前提)ようになる。

HEMSを使うからこそできるのが、シーン設定による一括操作だ。「帰宅時」のシーンに、照明やエアコン、風呂のお湯はりなどをまとめてオンにしたり、「外出時」のシーンに、照明やエアコンをまとめてオフにしたりといった具合だ。個々の機器を操作するのではなく、スマートフォンやスマートスピーカーで設定したシーンを指定すればよい。

さらに筆者が興味を持ったのは、実家の高齢の親を見守ることにも活用できる点だ。実家をIoT住宅化すれば、夏の暑い日にエアコンがついていないとスマートフォンに連絡が来て、熱中症のリスクを把握できたり、電力の使用量をチェックすることで、安否確認ができたりと、離れた場所にいても実家の状況がわかるからだ。

親側からも、電池式のカード発信機を使って、急に体調が悪くなったときなどに子どもたちに知らせることが可能だという。配線不要で持ち歩ける発信機なので、どの部屋にいても気分が悪いときにボタンを押せば、HEMSを経由して指定したスマートフォンに連絡がいくので、子どもが同じ住宅内にいるときはもちろん、離れた場所にいても駆けつけてもらうことができる。

ほかにも、火災報知器が鳴ったら、家中の照明をつけて避難に備えたり、気象警報と連携して、自動で電動シャッターを閉めたり、あるいは停電に備えて蓄電池などの充電を始めたりと、防災面でも活用が可能だという。

スマート家電やHEMSとの連携を「使いこなせれば」という条件付きだが、生活が安心・便利になることは間違いないようだ。

でも、「スマート家電は一般のものより高額なのではないか」「HEMSを導入するには大がかりな工事が必要になるのではないか」とパナソニックに質問をぶつけてみた。最新モデルの家電はインターネットに対応するものが多く、特別な商品でもないという。それよりも今ある商品がインターネットに対応していないケースが課題だという。

例えば、HEMSの基本機器(コントローラー)の価格は、パナソニックの場合なら、モニター機能付きで8万円、モニターなしで4万円(税抜きの希望小売価格)。基本機器をコンセントに差し込み、HEMS対応機器を登録すれば使用できる。電気量計測などの一部の場合を除き、特に大がかりな工事は必要ない。

ただし、後付けする場合では、連携させたい家電に耐用年数が残っていても最新モデルに一気に交換する必要があるので、その購入価格が高額になる。そのため、住宅を新築する際にIoT住宅にするのが、最も効率的だという。

クラウドAPI連携によるスマートホームサービスも登場

三菱地所では、総合スマートホームサービス「HOMETACT(ホームタクト)」を開発し、新築の賃貸マンションから導入を始めると発表した。このシステムが従来と大きく異なる点は2つある。

(画像:三菱地所「HOMETACT」記者発表会資料)

1点目は、「導入障壁」が低いこと。(1)スマート化のアプリが多様にあり、まとめて操作できないこと、(2)使用するためにはユーザー自身が設置・設定しなければならないこと、(3)アフターケアやトラブル時の緊急対応などのサポートがないこと、などがIoT化を阻む要因になっている。

これに対して、三菱地所はオリジナルのHOMETACTアプリを開発し、IoT機器をまとめて操作(スマートスピーカーを使って音声操作も可能)できるようにした。また、ビックカメラグループと提携した「設置・設定サービス」や「コールセンター」などのカスタマーサービスの体制を整えた。

2点目は、「クラウドAPI連携」によるスマート化であること。APIとはApplication Programming Interfaceの略で、ソフトウェアの機能を共有する仕組みのこと。今回のケースでは、給湯器のリンナイやスマートスイッチのライフスマート、お掃除ロボットのアイロボットなどの各社にAPIを公開してもらい、HOMETACTのソフトウェアにこれらのソフトウェアの機能を埋め込むことで、まとめて操作できるようにした、と機械音痴の筆者なりに理解した。

API連携であれば、HEMSのようにECHONET Lite規格にかかわらず、インターネットに接続できる機器であれば連携が可能だという。ただし、日本ではAPIを公開している事例が多くない点が課題。多くの家電・住宅設備メーカーと協力関係にあるデベロッパーが取りまとめ役になることで、こうした連携が現実化した。現時点では、スマートスピーカーはGoogle Nest、スマートライトはフィリップスなどと連携先は限られるが、今後連携先を広げていく予定だという。

このように、これから住宅業界ではIoT住宅が普及していくだろう。住宅が賢くなれば、そこで暮らす人たちの生活がますます便利になっていく。暮らす側の私たちも、使いこなせるようにもっと賢くならねばと思った次第だ。