• 22/03/2023
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180mmファン×2でハイエンド構成も余裕で冷えるATXケース「Fractal Design Torrent Compact」

Torrentから継承されたエアフロー重視のシャーシ設計一回り小さくなったTorrent Compactの内装を確認

 ここからは、サイドパネルなどを取り外してTorrent Compactの内装をチェックしていこう。

 マザーボードをはじめとする主要パーツの搭載スペースとなっている左側面からは、ドライブベイのようなエアフローを妨げる要素が排除されており、フロントファンが作り出す風がCPUやGPUの周辺へとスムーズに流れるよう設計されている。また、高さ174mmまでの大型CPUクーラーの搭載も可能なので、冷却性を重視した空冷環境の構築に適している。

 ケース背面側には拡張スロットが7スロット用意されており、ケース前面に標準の180mmファンを搭載した状態で330mm長までのビデオカードを取り付けることができる。また、Torrent Compactには、ビデオカード用のサポートステイが同梱されており、これを用いることでビデオカードの重量をシャーシで支えることができる。

サイドパネルを取り外した左側面。エアフローを妨げるユニットは排除されている。拡張スロットは7スロット。標準搭載の180mmファンを搭載したままで330mmまでのビデオカードが利用可能。Torrent Compactに付属しているビデオカード用のサポートステイ。サポートステイを用いれば、重量級のビデオカードをシャーシで支えることができる。

 ケースの右側面は主に配線スペースとなっている。各所にケーブルマネージメント用のストラップや結束バンド用の固定ポイントが設けられており、シャーシとサイドパネルの間には20mmの空間が確保されている。スペース的にはやや狭い方なので、ストラップや結束バンドでしっかりケーブルを固定するのがケーブリングのポイントになるだろう。

 また、右側面の底面側には2.5インチSSD搭載用のドライブベイが3基用意されている他、前面側には9基の冷却ファンを接続できるファンコントロールハブ「Nexus 9P Slim」が標準搭載されている。Nexus 9P Slimは、最大で9基のファンに電力とPWM信号を供給することで制御を行うユニットで、合計36Wまでの電力を扱える。

右側面の内装。ケーブルマネージメント用にストラップや結束バンド固定ポイントが設けられている。シャーシとサイドパネルまでの空間は20mm。右側面の底面側には、2.5インチSSD用のドライブベイが3基配置されている。ファンコントロールハブ「Nexus 9P Slim」。9基の冷却ファンに電力とPWM信号を分配できる。Nexus 9P Slimの利用には、電源入力用のSATA電源コネクタと、PWM信号供給用の4ピンファンコネクタの接続が必要。

 天板はケース背面側にスライドさせることで取り外し可能で、外すことで電源の搭載スペースにアクセスできる。搭載可能な電源ユニットのフォームファクターはATXで、最大長は210mm。

180mmファン×2でハイエンド構成も余裕で冷えるATXケース「Fractal Design Torrent Compact」

 電源ユニットの搭載方向は電源ユニットの搭載スペースはケース内部側に通気口が設けられており、電源ユニットはケース内の空気を吸い込む形で設置する形となる。なお、この電源搭載スペースの左側面側には、アドレッサブルRGB LEDを搭載したライティングバーが配置されており、マザーボードなどに3ピンコネクタで接続すればLEDイルミネーションが楽しめる。

天板を取り外すと電源ユニット用のスペースにアクセスできる。最大で210mm長のATX電源ユニットを搭載できる。電源ユニット搭載スペースは、ケース内部側に通気口が設けられているほか、LEDを備えたライティングバーが配置されている。ライティングバーはアドレッサブルRGB LED用の3ピンコネクタを用いることで利用できる。

 天板部分には、着脱可能なストレージベイが1基搭載されている。これは、「3.5インチHDD+2.5インチSSD」または「2.5インチSSD×2台」を搭載できるもので、電源ユニットの長さに応じて搭載ポジションを変更できるのだが、ポジションによっては搭載できるドライブに制限が生じる。

 電源ユニット寄りに配置した場合、電源ユニットのスペースは174mmに限定されるが、表面に3.5/2.5インチドライブ、裏面に2.5インチSSDを取り付けられる。一方、ケースのフロント側に取り付けた場合、電源ユニットの搭載スペースは224mmが確保できるが、ドライブベイは裏面に2.5インチSSDを搭載できなくなる。

天板部分に配置するドライブベイ。表面に3.5インチHDDまたは2.5インチSSDを1台、裏面に2.5インチSSDを1台搭載できる。電源寄りに配置した場合。電源ユニットの搭載スペースが174mmに限定されるが、ドライブベイは表裏にドライブを搭載できる。フロント寄りに配置した場合、電源ユニットの搭載スペースは224mmが確保できるが、ドライブベイは裏面にドライブを搭載できなくなる。

2基の180mmファンで前面から背面へのエアフローを構築

 Torrent Compactは、全てのバリエーションでフロントに38mm厚の180mmファンを2基搭載している。今回用意したTorrent Compact Black TG Dark Tintをはじめ、RGB LEDイルミネーション非対応モデルは「Dynamic X2 GP-18 PWM」を搭載しており、RGB LED搭載モデルには「Prisma AL-18 ARGB PWM」が採用されている。いずれもファンスピードは300~1,200rpm。

 フロントパネルには着脱可能なダストフィルターが装備されており、フロントに配置されたケースファンがホコリなどのゴミを吸い込むのを効率的に防いでいる。また、フロントのファンステイ関しては、標準の180mmファン×2基構成のほか、同梱のファンブラケットを用いることで140mmファン×2基、または120mmファン×3基を搭載することができる。

フロントのファンステイ。標準で38mm厚の180mmファンを2基搭載している。フロントパネルの内側には、着脱可能なダストフィルターを装備。フロント用の140mm/120mmファン固定用ブラケット。ケースへの取り付け位置によって搭載できるファンサイズが選択できる。140mm/120mmファン用ブラケットを取り付けたところ。写真では140mmファンが搭載可能なポジションに取り付けている。

 ケース面にもファンステイが設けられており、180mmファンまたは140mmファンを2基、あるいは120mmファンを3基まで搭載できる。

 ただし、底面のファンステイに取り付けた冷却ファンは、他のパーツとの間に物理的な干渉が生じる。例えば180mmファンを2基搭載すると、拡張スロットが2基埋まってしまうほか、搭載できるマザーボードのサイズがmicroATX以下に制限され、フロントのファンステイとの干渉が生じる場合がある。140mm以下のファンであればマザーボードの制限は生じないが、拡張スロットは1スロット埋まってしまう。

 搭載可能なファンサイズや制限については、Fractal Designのウェブサイトで公開されているマニュアルに記載されているので、底面のファンステイを利用したいのであれば事前に確認することをおすすめする。

底面のファンステイ。180mm/140mmファンを2基、または120mmファンを3基まで搭載できる。底面のダストフィルターはフロントパネル側から引き抜く形で着脱できる。底面に180mmファン2基を搭載したところ。搭載可能なマザーボードがmicroATX以下に制限される。底面に180mmファン2基を搭載するとフロントのファンステイとのクリアランスが無くなる。前面と底面に180mmファンを4基搭載するような構成は不可能だ。底面に38mm厚の180mmファンを取り付けると、拡張スロットが2スロット使用できなくなる。底面に25mm厚の140mmファン(別売り)を取り付けた場合。マザーボードに制限は生じないが、最下段の拡張スロットと干渉する。

 ケースの背面には、120mmファンや同サイズの水冷ラジエーターを搭載できるファンステイが設けられている。こちらはダストフィルター非搭載で、基本的には背面排気方向での利用が想定されている。

 このようにTorrent Compactには、ケース前面以外にもファンステイが用意されているが、基本的にはフロントファンによるエアフローでケース内を換気することが前提の設計となっている。

ケース背面のファンステイ。120mmファンや同サイズのラジエーターを1基搭載できる。背面のファンステイはダストフィルター非搭載。