• 08/07/2022
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設立から変わらぬ理念で60年余、『ベルマーク』の今 PTA主体から生徒主体…運用法に変化も

ベルマーク ※収集イメージ (C)oricon ME inc.

 学生の頃、多くの人が経験しているだろう『ベルマーク』収集。だが、学校に集められた後、それがどのような仕組みで何に使われたか、正確に説明できる人はほぼいないだろう。「すべての子どもに等しく、豊かな環境の中で教育を受けさせたい」という思いから活動がスタートして今年で62年。「仕分けが面倒」などの声が上がりながらも、近年、その活用法が変化しているという『ベルマーク』について、その理念と現状、功績と課題に迫っていく。【画像】かわいいキャラクター…ベルマークをかぶったやどかり『ベルマーくん』とその家族

設立から変わらぬ理念で60年余、『ベルマーク』の今 PTA主体から生徒主体…運用法に変化も

■学校の備品を購入することが、へき地や被災校などを支援することに

『ベルマーク』の仕組みを説明できるか、といわれれば、ほとんどの人が「集めると、学校の備品がもらえる」と回答するのではないだろうか? その通り、食品や文房具など、48社(スタート時は38社)の「協賛会社」の2000種類以上にも及ぶ商品パッケージに付いている『ベルマーク』を集め、学校のPTAらが中心となって収集し、仕分け・整理。ベルマーク教育助成財団(以下/ベルマーク財団)へ送ると、マーク1点が1円で換算され、協賛会社からその分のお金を、学校ごとの「ベルマーク口座」に預金。貯まった金額に応じて、学校に必要な備品などを「協力会社」から購入できるというもの。1960年10月よりスタートした「ベルマーク運動」の基本的な仕組みは、60年以上経過した今も変わっていない。ベルマーク教育助成財団広報部長の斎藤健一氏によると、この運動にはもう一つ、大きな意義があるという。「運動が始まった当初は、今ほど学校設備が整っていませんから、それらを少しでも助けるという意味もありました。それに加えて、『すべての子どもに等しく、豊かな環境の中で教育を受けさせたい』という願いを実現するための大きな仕組みでもあります」(斎藤氏) 運動に登録参加している学校がベルマーク預金で商品を購入すると、その金額の1割が自動的にベルマーク財団に寄付。それらがへき地の学校や特別支援学校、災害で被災した学校、発展途上国の子どもたちを助けるNPOなどへの支援として活用されるのだ。 例えば、2011年の東日本大震災直後には、福島、岩手、宮城、茨城の被災校にノートや鉛筆など計800万円相当の緊急支援を実施。被害の大きかった東北3県への支援は現在も継続中だ。直近では、熊本豪雨の被災校への援助をはじめ、へき地学校や養護学校へ希望教材や図書を贈呈、盲学校へは卓上型拡大読書器、聾学校へは短焦点プロジェクター、病院内学級へタブレット等贈呈のほか、途上国の子どもたちへの援助も継続。これまでに支援した額は累計で50億円を超える。『ベルマーク』がなぜベルの形をしているかというと、「国内外のお友達に“愛の鐘”を鳴り響かせよう」という助け合いの気持ちを示しているから。意外と知られていないが、その理念は60年以上変わっておらず、自分たちの学校のために『ベルマーク』を集めることで、自動的に、厳しい教育環境にある子どもたちを支援することにつながっているのだ。

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