マスクをしたままiPhoneのロック解除、CNN記者が新機能を実験
ニューヨーク(CNN Business) 私は大勢の人が行き交う米ニューヨーク市の地下鉄駅前に立っていた。人目を避けようとするセレブさながらに、顔をサングラスで覆い、ベースボールキャップをかぶり、黒いKN95マスクを着けた姿で。
それでも私のiPhoneは、たちまち私を正しい持ち主だと認識した。顔を出す必要はなかった。画面をスワイプすると、顔認証機能の「フェイスID」を使ってすぐにロックを解除できた。
過去2年の間、私を含むiPhoneユーザーの多くは、自分の顔で簡単にロックを解除できるという便利さを、マスクのために失っていた。アップルは最新版のソフトウェアアップデートで、この問題に対応したい意向だ。
更新版の「iOS 15.4」は、iPhoneの持ち主が公共の場でマスクを外さなくても、フェイスIDを機能させることを目指している。解析に使える情報が少なくなっても顔を認識できる技術は画期的だ。この新機能はまだテスト段階にあり、数週間か数カ月以内に「iPhone 12」とそれ以降のスマートフォンで使えるようになるかもしれない(米国でマスク義務付けを解除する州が相次いでいることを考えると、このタイミングはやや皮肉かもしれない)。
私はアップデートのテスト版をダウンロードして、さまざまなデザインのマスクでフェイスIDの実験を行った。黒いK95マスクや、ひげ付きのマスク、さらには映画「ホーム・アローン」の主人公ケビンの顔のマスクまで試した。その結果、多くのマスクで初めて試した時はフェイスIDがうまく機能したものの、全般的な結果はまちまちだった。顔認識に失敗してパスコードの入力を求められることも多かった。
サングラスと帽子を着けた姿で最初に試した時はロック解除に成功したものの、それを繰り返すとうまくいったりいかなかったりした。アップルが後に語ったところによると、今回のソフトウェアアップデートは眼鏡をかけた状態でも顔認識が機能することを目指しているが、サングラスについては、ユーザーを識別できるだけの情報をフェイスIDで収集できればうまくいくこともある。ただし帽子には対応できる設計になっているという。この両方を組み合わせた場合、うまくいく確率は約半分だった。
新機能がこれだけ通用したのは印象深かったが、結果がまちまちだったことは、顔の一部が覆われた状態での顔認識に関してアップルなどのテック企業が立ち向かわなければならない困難の大きさを物語る。顔認識は、アップル以外のスマートフォンにも採用されている。
顔認識ソフトウェアは一般的に、顔のさまざまな特徴を計測した画像を、別の画像と照合することによって機能する。アップルのフェイスIDでは、保存された持ち主の顔の画像と、ロックの解除を試みた際に取得する画像を照合する。マスクを着けるようになったことで、アップルを含む多くの企業が、顔の鼻より上の部分、特に目の周辺部分でユーザーを識別できる機能の開発に力を入れるようになった。
マスクを着けた状態ではフェイスIDで利用できる生体情報が少なくなるため、顔が全部見える時ほど簡単にはユーザーを識別できず、パスコードの入力が必要なこともあるかもしれないとアップルは説明している。