• 10/01/2023
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「私の人生は普通ではありません」 フランス大統領夫人ブリジット・マクロンが語る“闘い”とは?【独占インタビュー】

ブリジット・マクロンは、ベルナデット・シラクの跡を継いで、2019年6月以来、病院のための福祉財団の会長を務めている。photo : Matias Indijic

「私の人生は普通ではありません」 フランス大統領夫人ブリジット・マクロンが語る“闘い”とは?【独占インタビュー】

入院中の子どもたちのための活動に力を入れている、ブリジット・マクロン大統領夫人。2月5日の「黄色いコイン」募金の締め切りを前に、エリゼ宮にフランスのマダム・フィガロを迎え入れた。自身の闘い、優先事項、人生の哲学について、独占インタビュー。【写真】そのファッションセンスでもセンセーションを巻き起こすブリジット・マクロン仏大統領夫人2月5日まで、ブリジット・マクロンは、2022年黄色いコイン募金(1)に全力を注いだ。2019年6月以来、病院のための福祉財団の会長を務め、入院中の子どもやティーンエージャーのために一年を通して力を尽くす彼女にとって、大事な瞬間だ。けれどもちろん、4月に大統領選挙を控え、彼女の視線はもう一つのキャンペーンにも向かっている。このインタビュー記事の締め切りの時点で、いまだに立候補表明をしていない候補者。だが、この候補者のキャンペーンにとって、彼女の果たす役割は大きい。この激動の冬、国家元首の妻である彼女は、自身が体現するシンパシーの力をわきまえている。近寄りやすく、教養があり、ユーモラス。ロマンチックな運命に導かれた、アミアンの文学教師。ブリジット・マクロンは、この4年半で、まれに出演するテレビをはじめ、現場での人々との出会いに豊かな才能を見せ、セレブリティから慈善団体に至るまでのネットワークを築き上げることに成功した。マダム・フィガロのチームをエリゼ宮に迎え、彼女は左翼に続く扉を大きく開けて、喜んで写真撮影に応じてくれた。1972年にクロード&ジョルジュ・ポンピドゥ夫妻がデザインを依頼した、明るいピエール・ポーランの間から、フジェールの間にある花柄の壁紙のブリジット・マクロンの執務室へ。ベージュ色の革と木の大きな執務デスクは、マタリ・クラセのデザイン。デスクの上には家族の写真と本が置かれている。この日は、モリエールとともに、カリーヌ・チュイルの『la Decision』、クララ・デュポン=モノの『受け入れたならば』の表紙が見える。ここから、率直でダイレクトなスタイルの1時間30分のインタビューが始まった。話題は入院中の子どもたちからフェミニズム、デジタル、標準の重みまで。ブリジット・マクロンはすべてを明かしはしないが、何かを避けることもない。絶妙なバランスだ。(1)黄色いコイン募金「Pieces Jaunes」は、元々、黄色いサンチームコインを募金箱で集めることから始まったもので、1989年以来毎年行われている。病院のための慈善財団による募金で、入院中の子どもたちやティーンの暮らしを改善するためのプロジェクトを支えている。現在ではpiecesjaunes.fr、ショートメッセージでの寄付も導入。*****ーーいまの精神状態を最もよく言い表す言葉は何でしょうか?闘いです。私たちの活動は、闘いを続ける子どもたち、ティーンエージャー、家族のためのものだからです。病気と闘うにはたくさんの勇気が必要です。医療従事者も同じように、毎日、強い意志と決意をもって、患者のために闘っています。病院のための福祉財団の役割は、彼らがこの難しい時期を乗り越えることを助け、その闘いを支援することにあります。ーー「疲労、心配、不確実性」がフランス国民のモラルに重くのしかかっている、とジャン=ジョレス財団(2)の調査が語っています。2年前から、コミュニケーションといえば病院の話題でいっぱいですが、入院中の子どもとティーンのウェルビーイングについての活動を、どのように進めていますか?パンデミックのせいで、私たちの習慣や確実視していた事柄が大きく揺らぎました。ですが、フランス人の病院と医療関係者に対する信頼は不変です。黄色いコイン募金のような活動が、開始と同時に大きな成功を収めているのも、この事業による資金が可能にするプロジェクトが、いずれも寄付する人たちの目に見えるものだからです。だからこそ、この募金活動が毎年たくさんの人を動員しているのです。(2)ジャン=ジョレス財団による調査「Une societe fatiguee ?」https://www.jean-jaures.org/publication/une-societe-fatiguee/ーー2019年6月に病院のための福祉財団の会長に選ばれました。その8カ月後の20年3月から5月に、パンデミックの緊急事態が起こり、医師たちと常にコンタクトすることになられた。この2年間をどう振り返りますか。最初のロックダウンは濃厚な時間でした。福祉財団のスタッフと電話連絡を密に取り、個人、企業、アーティストたちからもたくさんの連絡がありました。小切手を送ってくれた人、募金運動をオーガナイズした人もいました。フランス国民は大きな寛容を示しました。人工呼吸器などの医療機器を必要とする病院を支援し、精神科や老人養護施設に家族とのコミュニケーションのためのタブレットを4万個提供しました。シェフたちは食事の調理や配給を手伝ってくれました。続いて2021年には医療従事者たちに向けた寄付を募り、彼らが休憩したり、作業療法士や理学療法士によるケアを受けられる場所を用意しました。ーー最初のロックダウンで、子どもたちへの暴力が増加しました。財団にはどんな情報が上がり、どのように対応されましたか?この件については、早い段階でアラートを受け取りました。虐待、乳幼児の揺さぶられ症候群、家庭内での身体的、精神的暴力……。児童精神科医たちから、忌まわしい状況が報告されました。すぐに虐待の犠牲になっている子どもたちの発見、診断、フォローのためのプログラムを立ち上げました。子どもたちは、皆、何らかのタイミングで、病院を訪れるのです。ポイントになるのは、そこで虐待を発見し、こう伝えることです。「身体のこと、心のことを含めて、私たちが力になりますよ」と。時には、法廷にまで援助が続きます。虐待の専門家である医師や心理学者、看護師、社会教育士から構成されるモバイルユニットを作りました。このユニットは複数の病院に置かれています。現在、他にもアミアン、ストラスブール、ボルドー、マルセイユにも設置を検討中です。チームは病院から病院へと飛びますが、病院以外にも、いじめや自殺未遂などがあれば、学校にも出向きます。これは、入院中の子どもとティーンエージャーに向けての大きなプロジェクトの一環ですが、教育の問題も含んでいるのです。

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最終更新:フィガロジャポン