• 27/04/2022
  • Homesmartjp
  • 1434 Views

「AQUOS R2」のデュアルカメラはどうやって作られたのか

動画ならではの使い方とは

――今回のAQUOS R2の特徴は?

動画コミュニケーションが今回のカメラのキーワード小林氏 特徴としては、まずデュアルカメラがあります。デュアルカメラ自体は、「カラー+モノクロ」「通常+ワイド(広角)」など、さまざまな組み合わせのものがこれまで登場していますよね。その中でシャープはどうするか。そこで注目したのが、動画でした。

 スマートフォンユーザーは本当によく動画を撮ります。調査すると、ユーザーの半数は定期的に動画を撮影していることがわかりました。その半数は、その動画をアップロードするところまで行っています。その一方で、たとえば1分間撮影し、そのままアップロードしたとしても、そこまで長い動画はなかなか観てもらえません。動画をアップロードするという使い方は広がっていても、まだ、お客さまには満足感を持っていないのではないか、と考えたのが背景としてあります。

――どういった利用シーンを想定して開発されたのでしょうか。

「AQUOS R2」のデュアルカメラはどうやって作られたのか

シャープの小野氏小野氏 私は犬を飼っており、休みの日には散歩に出かけます。犬を飼っている方であればご存じでしょうが、スマートフォンで犬を撮るのってわりと苦労します。たとえば人間の目線から撮ると、上の視点になって、良い写真や動画になりません。かといって犬の目線で撮るのは、スマートフォンでは難しい。だからこれまでは、スティックにアクションカメラを付けて撮影する、なんて楽しみ方をしていたのです。

 これをスマートフォンでやるには何が必要か、今回あらためて考えました。1つ目の答えは広角レンズです。犬からの目線を撮影しようとすると、そのままでは画面を覗きながらは撮れません。広角にすれば、犬が観ているであろう被写体や風景がフレームからはみ出さないようにできます。

 アクションカメラを使っていて気づいたのは、ピントが安定していて映像として見やすいことでした。でもスマートフォンのカメラは基本的にオートフォーカスですよね。カメラを1つしか搭載できない場合、ディープフォーカスの設計にしてくれとは言えません。そして歩きながらでも手軽に動画を撮るためには、先ほど説明があったような高性能な手ぶれ補正が必須です。広角、ディープフォーカス、手ぶれ補正という3つの性能が動画には必要というわけです。

小林氏 市場調査などを通じて、動画を撮るのは家族、子供、ペット、動きのある被写体やレストランなどと、主立ったニーズがわかってきました。その上で、いろいろなデュアルカメラ方式がある中、本当にこんな特異なことをやっていいかと検討した結果、お客さんの声として、動画を撮る人であれば撮る人ほど、カメラが2つに分かれていた方が良いとの確信を得て、動画のためのデュアルカメラの仕様としました。

小野氏 スマホではなんとなくで「デュアルカメラが良い」と思われがちですが、なぜ二眼が良いのか、どういった仕組みなのか、といった点はわかりにくくなっていないでしょうか。しかし「AQUOS R2」は「動画専用のカメラと普通のカメラです」とシンプルに2つあることの価値をお伝えできるかなと考えています。

小林氏 シャープのDNAもあります。我々が一番心配しているのは、シャープがほかのメーカーに勝つとか負けるとかではなく、スマホ業界全体が盛り上がらないことです。新しい商品が出てきても、日用品になってしまって誰にも注目されなかったりライフスタイルが変わらなくなったりするのは、とても怖いことです。だから常に新しい使い方を提案したい。提案し続けるには常に新しいアイディアを持っていないといけません。今回は新しいアイディアが生まれました。発表後、良い反響が得られていると認識しています。