• 13/09/2022
  • Homesmartjp
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EVsmartブログ電気自動車や急速充電器を快適に 【集合住宅EV用充電設備事例】マンション住民主導で設置した資産防衛としての充電設備 人気記事 最近の投稿 カテゴリー

次世代の標準設備

課金機能を備えた充電設備設置サービスを進めるユアスタンドの最新事例シリーズ。今回お邪魔したのは東京都渋谷区の瀟洒な分譲マンションです。

現在、マンション住まいのEVオーナーの多くはガソリンスタンドに立ち寄るかのごとく、週に何度か公共の急速充電ステーションに通っていることでしょう。でも、やはり自宅充電が本来のEVの使い方であり、寝ている間に充電されるのはこの上なく便利です。加えて、2022年は国産・輸入車ともに注目の新型EVが続々と投入される予定のため、これまで以上に近所の公共充電ステーションが混雑することが予想されます。さらに追い打ちをかけるように、一部の市役所や道の駅では採算が取れないという理由で更新時期を迎えた急速充電器を撤去しています。

つまり、EV所有者が増えて社会としてのニーズが高まるほどに、今後はマンションでも充電ができて当たり前の時代がやって来ることが予想されます。物件を探すときに「インターネット無料」や「オートロック完備」で絞り込みをした経験がある方も少なくないと想像しますが、もうすぐ「EV充電設備」を求める消費者も増えることでしょう。

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アップデートの相乗効果

現在、マンションの理事長を務めるTさんは海外数カ国での駐在勤務歴が長く、欧米ではマンションの住人が積極的に建物をアップデートしているのを目の当たりにして「物件の価値は住民自ら守るべきもの」という意識を強く感じたとのこと。その体験から、2019年に理事長となって以来、屋根の防水や配管の更新、窓のサッシ、防犯カメラ、共用部の電球のLED化などを行ってきました。LEDなどは理事長自らAmazonで購入して管理会社の担当者と一緒に取り替えて回ったそうです。

EVの充電設備についても過去に何度か検討したそうですが、誰がいくら電気を使ったのか分からなくなることがネックで頓挫していました。でも、すでに電気自動車(i-MiEV)に乗っている住民から「近くにあった無料の充電スポットが使えなくなった」という話があったり、これからのマンションにEV用充電設備は必要だという思いから、ネットなどで情報を検索してたどり着いたのがユアスタンドです。補助金申請を代行してくれることや、何よりも「誰がいくら電気を使ったのか」を管理する課金システムが備わっていることが依頼する決め手となったそうです。

半地下の駐車場は9区画。最初は1区画だけコンセントを設置する予定でしたが、世の流れはEVに向かっているし、電球をLED化したことで共用部の電気容量が余っていたこともあり、将来に備えて2車室に1つの割合で5カ所の200Vコンセントを設置することになりました。課金システム用の制御盤は古い防犯カメラの配線ダクトを再利用して工事費を抑えることができました。

このように、各部のアップデートと少しばかりのリサーチで、費用を抑えつつ近隣の新築マンションに負けない付加価値を手に入れることができたのです。ちなみに次は屋根にソーラーパネルを乗せる計画だそうで、新築マンションも真っ青なテクノロジーが満載です。

その他にも機械式駐車場でも充電が可能なシステムが増えていることや、普通充電器でも専用の電力引き込みが認められる規制緩和など、集合住宅での充電に対する追い風が吹いているため、今なら掛けた金額に対するメリットが大きい時代だと言えます。

分譲マンションの管理組合として、住民自ら積極的にこうした取組(アップデートの検討や提案)を展開しているケースは、日本ではまだそれほど多くないのではないかとも思います。一般的&日本的な管理会社を悪く言うつもりはありませんが、管理会社のスタッフのみなさんは既存の仕事で手一杯であり、大規模修繕以外の新たな仕事を増やすのは厳しいのでしょう。分譲マンションを購入した住民自ら、管理会社からのアップデートの提案を消極的に待つのではなく「自分の資産は自分で守る」意識や視点をもち、行動することが大切なのだと、今回の取材を通して痛感しました。

(取材・文/池田 篤史)