JAcom 青森県八戸市で「取り入れやすいスマート農業」実証実験を開始 ライトカフェ2021年12月22日
「計測結果自動記録機能付きはかり」のイメージ
農業従事者が減少し、高齢化が進む中、農業を持続可能なものにするには、省力化・生産性や栽培技術の向上など農業現場を補うアプローチと、担い手の確保が重要になる。同社は、これらの課題解決に向けて、農業従事者のサポートと新規就農を検討する人が農業を始めやすい環境を作るため、導入費を削減した取り入れやすいスマート農業の実現に注力している。IoTやAI、ロボティクスを活用するスマート農業による省力化は、共通してそれぞれの課題解決に有効な手段のひとつ。一方、導入には技術が必要で、機材などに高いコストがかかるなど、導入までのハードルが高い。同社が研究するスマート農業は、低コストでの導入と、これまでの運用を尊重しながら利便性を追求する提案で、導入にかかる懸念点を解消。比較的手軽にスマート農業をスタートできる。
具体的には、ハウス内の生育環境を整えるため、頻繁にハウスに見回りに行かなくても済むよう、省力化のための遠隔管理のシステムを低コストで製作。3Dプリンタを利用したパッケージングにより、センサーユニットは2万円以内で用意した。通信は、LPWAを利用し年1600円程度のコストでデータを記録でき、初期コストと運用コストを大幅に削減できる。
ハウス内に設置したセンサーユニット
機能については、シングルボードコンピューターに環境センサーを接続し、遠隔地から温度、湿度、照度を計測。計測したデータはクラウド上に保存しWeb上で集計、グラフ表示でき、1日に何度もハウスの様子を見に行く必要がなくなり省力化に繋がる。
拡張性の高いシングルボードコンピューターを利用することにより、今後新たなセンサーを追加することが容易になり、研究進捗に合わせて計測するデータを増やせる。このデータと収穫物の量、品質等を比較することで、どのような条件下でどのような収穫が得られるのか可視化することをめざす。
また、現場では、はかりの値を紙に手書きで記録し、それを管理用パソコンに転記する必要がある、という声から、計測結果自動記録機能付きはかりを開発した。手書きで記録、パソコンに転記するという作業を一度で完了させる事で作業を省力化。現行の運用を阻害しない形で利便性を追求した。
今後は、アジャイル開発で2022年度中はPoC(概念実証)を行う予定。八戸市農業経営振興センターや八戸市の農家にヒアリングしながら、課題を抽出し、分析改善や検証を繰り返して八戸の農業従事者のサポート。同社が八戸市で実施する「取り入れやすいスマート農業」を、「八戸モデル」として策定し、一般農家への普及をめざす。