Wi-Fi 6ルーターの選び方、7つのポイント
Wi-Fi 6は何がいいのか?
Wi-Fi 6は、今後のWi-Fi機器で主流となることが確実な無線LAN規格だ。
正式には「IEEE 802.11ax」と呼ばれる規格で、規格上の最大速度は9.6Gbpsだが、現状の製品は最大4804Mbps(160MHz幅×4ストリーム、もしくは80MHz幅×8ストリーム)を実現可能になっている。
技術的には、さまざまな工夫がされているが、端的に「何がいいのか?」というと、ポイントは3つある。
- 速い
- 同時通信が快適
- 省電力に効く
1.速い
「速い」は、前述した最大4804Mbpsという最大速度だ。と言っても、現状、この速度で通信することはできない。というのも、PCやスマートフォンなどの端末側の最大速度が、これよりも低いからだ。現状はPCで最大2404Mbps(160MHz幅2ストリーム)、iPhone 11などのスマートフォンで最大1200Mbps(80MHz幅2ストリーム)となっている。
とは言え、それでも従来のWi-Fi 5(IEEE 802.11acの867Mbps)に比べると、PCで3倍近く、スマホでも1.5倍ほどの速度を手に入れることができる。
Wi-Fiの速度は、距離や遮へい物、周囲の電波状況によっても異なるため、一概には言えないが、最大速度だけでなく離れた場所でも速度の底上げが期待できる。このため、従来のWi-Fi 5ルーターと比較しても、同じ場所での通信がより快適になる可能性が高い。
2.同時通信が快適
続いての「同時通信」は、OFDMAやMU-MIMOと呼ばれる技術によって実現されるものだ。簡単に言えば電波の「相乗り」ができる技術で、どちらも複数端末の通信を同時に扱うことで、たくさんの端末が接続されている場合でも、高い速度を実現できるようになっている。
実は、現状のWi-Fi 5端末が混在している環境ではあまり意味がないのだが、後述するトライバンド対応製品を選べば、5GHz帯をWi-Fi 6対応機とそれ以外で使い分けることなどで、この技術によるメリットが受けられる。
3.省電力
最後の「省電力」は、Wi-Fi 6の「TWT(Target Wake Time)」と呼ばれる機能によって実現される。これは、例えるなら「目覚まし時計」の持ち方の違いだ。
従来のWi-Fi 5では、複数の端末で共通の目覚まし時計を使っていた。このため、通信しない端末がWi-Fiをオフにして電力を節約しようとしても、ほかの端末がセットした目覚まし時計で起こされてしまうことがあった。
TWTは、自分専用の目覚まし時計を使うので、端末が個別に寝起きできる。これにより、Wi-Fiによって無駄に電力を消費しなくて済むようになる。
現時点では検証が困難なため、どれくらい効果があるのかは未知数だが、いずれにしても、従来のWi-Fiに比べて単に速いだけでなく、いろいろな部分の性能や品質が向上しているというわけだ。