• 27/02/2023
  • Homesmartjp
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30年間アップデートを重ねた銘品 パタゴニアの大型3WAYバッグ「トレス・MLC 45L」

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす人が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

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マニアックなバッグ好きの間でも“不朽の名作”と言われているパタゴニアの大型3WAYバッグ「MLC」。特定のスポーツやアクティビティではなく、旅行やスポーツの遠征といった際の移動に使用する汎用(はんよう)バッグとして設計されており、その名も「飛行機内に持ち込める最大のサイズ」を意味する「Maximum Legal Carry-on」に由来する。

「MLC」の歴史は古く、1991年の時点で既にカタログに掲載され、現在に至るまで、ほぼ途切れることなく展開されている。ロングセラーアイテムとあって、長い歴史の中で繰り返しリニューアルされ、名称も「トランスポート MLC」「ヘッドウェイ MLC 」と変更されてきた。

MLCの最新バージョン「トレス・MLC」上部には横長のブリーフケースとして使えるようにハンドルが設けられている

多少の名称変更はあれ「MLC」は、旅慣れた人や、日々大量の荷物を持ち運ぶ必要がある人に、使い勝手の良い大型バッグとして愛され続けてきた。また他のアウトドアメーカーの旅行用バッグと比べて、デザインがシンプルかつモダンであったため、機能と見た目を両立したバッグとして、荷物の多いスタイリストや海外出張の多いバイヤーといったファッション業界の人々からも支持を集めてきたという。

背部の横型スリーブにはキャスター付きスーツケースの格納ハンドルを通せる。底部ファスナーを閉じれば、オープンポケットとしても使用可能

そんな「MLC」の最新バージョンにあたるのが、マストリストでも紹介した3WAYブリーフケース「 トレス・パック」の兄弟アイテムともいえる「トレス・MLC 45L」だ。

容量は45リットル。素材は平織りの7.4オンス・630デニール・ナイロン(リサイクル・ナイロン50%/ハイテナシティ・ナイロン50%)製

シーンに合わせて、ショルダーバッグ、手持ちブリーフケースとしても使用できる

「トレス・MLC 45L」とトレスバッグは、非常によく似ている。スペイン語で「3」を意味する「トレス」の名の通り、ブリーフケースや、パッド入りのショルダーストラップを使ってショルダーバッグ、さらに本体に収納されているショルダーストラップを取り出せばバックパックとして使用できる点も共通している。

重さを感じにくく、蒸れにくい、高機能ストラップ

バックパック用ストラップには、肩ずれ防止やバックパック本体の揺れを抑えてくれるチェストストラップが付属

このバッグの特徴は、背負った時に重さを感じにくいこと。秘密は、これもまたトレス・パックと共通の高性能ストラップにある。人間工学に基づく曲線、そして肩への負担を軽減するクッション構造を採用したパッドは、体に当たる面がメッシュ仕様となっており、暑い夏も熱や蒸れをしっかりと逃してくれる。もちろん蒸れと重さが重なって肩を痛めることもない。

体にフィットする曲線を描くバックパック用ストラップ

バックパック用ストラップ、ショルダーバッグ用ストラップともに、肌に当たる面はメッシュ仕様

30年間アップデートを重ねた銘品 パタゴニアの大型3WAYバッグ「トレス・MLC 45L」

長さを調節して余ったストラップをパッド部分のループに固定しておけるのもうれしい。「トレス・パク」と同じく、各ストラップと本体を連結するプラスチック製のパーツは本体に隠して収納することが出来る。使わないパーツが移動時に邪魔にならないようにとの配慮だ。

ショルダーストラップの先端は折り返してあり、伸縮するループを通した上でショルダーパッドのループに引っ掛けられるため、邪魔になることはない

ストラップはプラスチック製のバックルで簡単に着脱できる

大容量かつ荷物を整理整頓して運べるオーガナイザー機能

上から見ると4カ所にファスナーを備えていることがわかる

トレス・MLC 45Lは、過去モデルと比べて、より内容物を小分けに収納できる「オーガナイザーバッグ」へと進化を遂げている。本体外側には4カ所のファスナーがあり、外側正面(※1)は、シンプルな構造の大容量ポケットに。頻繁に取り出したい小物などを収納するスペースとなっている。

もっとも外側のポケットは大容量。頻繁に使うアイテムは、とりあえずこちらに収納しておきたい

大容量ポケットのすぐ後ろにあるフルオープン可能なファスナー(※2)の内側は、過去モデルからの進化をもっとも実感するスペースだ。壁面には、ここ10年で外出時の必須アイテムとなったタブレットやスマートフォンの収納を想定したマジックテープ付きのポケット、ファスナー付きのポケット、内容物を確認しやすいメッシュ仕様のポケットを備えている。とにかく細かく仕切られ、小物をしっかりと整理して収納出来るため、バッグの中で物をバラけさせることがない。

外側からアクセスしやすい位置にスマートフォンやタブレットの収納スペースを備えている

大容量のメインコンパートメントは、内部で2室に分かれている

左側のポケットは、通常の仕切りの上にメッシュポケットが付いている。バッグを開けた時に見せたくないものを収納したい

もうひとつのフルオープン可能なファスナー(※3)を開くと、こちらは衣料品をたっぷり収納できるメインコンパートメント。見た目以上に物が入るため、余裕を持って3〜4泊分の衣類を持ち運ぶことが出来そうだ。スペースは内部で左右2室に分かれており、それぞれに扉がついているため、スーツとスポーツウェア、着替えとシューズと用途の異なるアイテムを分けて収納することが出来る。

背中側のパッド入りポケットには、ケースに入れた15インチのパソコンが収納可能

裏地の追加でさらに長く使えるバッグに

表地ともポリウレタン・コーティング加工とDWR(耐久性撥水〈はっすい〉)加工が施されている

以前のモデルで行われたリニューアルではあるが、あえて強調しておきたいのが、裏地の追加だ。というのもかつての「MLC」は、化学物質と水が反応して分解を起こす「加水分解」により、生地裏側に施されたポリウレタンのコーティングが剥(は)がれ、防水性能が失われることがあった。ところがトレス・MLCには裏地が付けられているため加水分解の心配がない。筆者が所有していた初期モデルのMLCは、生地や縫製の強度こそ高かったものの、7〜8年ほどでクローゼットの肥やしとなってしまった。しかし「トレス・MLC 45L」とは、より長く付き合うことができそうだ。

90年代初頭から改良を繰り返し、30年かけて徐々に完成度を上げてきたトレス・MLC 45L。しかしパタゴニアでマーケティング部に籍を置く牧野知生(まきのともお)さんは「アップデートにゴールはない」と語る。

「時代によって必要とされる要素は変化するからです。それは使いやすさや機能だけにとどまりません。たとえばトレス・MLCへのリニューアルでは、リサイクル素材の使用率を大幅に上げています。こういったアップデートを地道に行ってきたからこそ、MLCは30年近くもお客様に愛され続けるロングセラーアイテムになったのだと思います」

とはいえ初期のMLCとは比べ物にならないほど使い勝手が良いトレス・MLC 45L。基本的な「使いやすさや機能」においては極限まで進化を遂げていると言ってよさそうだ。いま大型バッグをお探しの方にはもちろん、かつてMLCを愛用していたあなたにも、この“古くて新しい”3WAYバッグをおすすめしたい。

側面には収納可能なネームプレートがついている。個人情報保護やセキュリティーの問題からネームプレートを必要なときに、ワンタッチですばやく取り出せる

「トレス・MLC」¥ 27,500(税込)

取材・文/吉田大撮影/今井裕治

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