• 08/01/2023
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運転認知機能、タブレットで検査 高齢ドライバー増受け

75歳以上の自動車運転免許更新時に義務付けている認知機能検査を巡り、富山県警が9月から一部会場で、紙に代わりタブレット端末を全国で初めて導入した。自動採点で、1人当たりの所要時間を大幅短縮できる。全国では100日超に達するケースもある予約待ちの解消など、高齢者の負担軽減が狙いだ。他県警などから問い合わせが多いといい、広がる可能性がありそうだ。

「画面をタッチし、鉛筆だと思い文字を書いてください」。9月中旬の富山県警本部運転免許センター(富山市)で開始前に職員が一人一人に声を掛け説明した。後はヘッドホンの音声案内に従う。受検者はタブレット画面に浮かぶ動物や楽器などの絵を覚え、消えた後で、思い出しタッチペンで記入する。指示された時刻を指す時計の絵を描くなど、他にさまざまな出題がある。

富山県警は検査を県内各地で実施しているが、同センターで行う分についてタブレットを導入した。個別に自動音声を聞いて答え、終えた人から退席できる。全員一斉に進む紙の場合は採点終了までに約2時間かかったが、デジタル方式は40分程度の人が多い。同市の林令子さん(80)は「夫と2人暮らしで車は生活の足。タブレットは採点がすぐ終わって良い」と話す。県警によると、おおむね好評だ。

運転認知機能、タブレットで検査 高齢ドライバー増受け

ただ「普段はスマートフォンもパソコンも使わず、戸惑った。紙の方がよい」(80代男性)との声もある。担当者は「多くの人が操作できている。うまく使えず受検できない人が出ないよう常に配慮したい」と語る。

タブレット化による時間短縮で回転率が上がり、県警は予約待ちを減らすため1日当たりの受検者増を検討。職員は冒頭に個別に説明するだけで、飛沫の心配が減り新型コロナウイルス対策になる。

検査で判断力低下が分かった場合などは、医師の診察を受け、認知症なら一定の手続きを経て免許取り消しや停止となる。警察庁によると、75歳以上の免許更新に伴う認知機能検査・高齢者講習の待ち期間は6月末時点で全国平均59.7日。最長の神奈川県は115.2日だ。75歳以上の免許保有者は2020年末で590万人となり今後も増える見通し。同庁は5月、検査のタブレット化を認める通知を出した。

新潟県警は対象者ごとに検査会場と日時を指定している。会場の収容人数に合わせ調整するため「実質的に予約待ちはない。(対象者の)近くの会場を指定すれば利便性も高い」としている。

大分県警は県運転免許センター(大分市)での検査を「予約なし」で実施。受付時間までに来た人のうち先着20人ずつ行い、当日中に受けられる。担当者は「仮にタブレットを採用しても不慣れな人がおり、日ごろの能力を発揮できるよう紙の選択肢も残した方がよい」と対応を模索している。〔共同〕

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