転んでもタダでは起きない Apple Watchだけじゃない、転倒検出機能が注目される理由
Sengledの「Smart Multi-Color A19 Bulb with Health Monitoring Radar」
注目されるデジタルテクノロジーをプラスとマイマスの両方から考察する、ジャーナリストの野々下裕子さんによる連載コラムがスタートしました。スマートパジャマ「e-skin Sleep & Lounge」 1月から放送されている Apple Watch Series 7 のTVCMは、森の中で単独事故にあったサイクリストがApple Watchに搭載された転倒検出機能によって一命をとりとめたという実際の話を元に構成されている。日本ではCMにあるような緊急通報サービスは未対応だが、転倒検出機能は使用できるので、活用すればより多くの命が助けられる可能性がある。 たかが転倒というなかれ。実は転倒事故は以前から世界で大きな問題になっている。WHO(世界保健機構)によると転倒は、意図しない障害による死亡原因として世界で2番目(1番目は交通事故)に多く、毎年68万4000人もの人が亡くなっていると推定されている。死亡に至らずとも医師の診療が必要なほど深刻な傷病を負うのは年間約3730万人と、想像以上に人は転んで大けがをしているのだ。 転倒を防ぐには日頃から歩きやすい靴を選んだり、足腰を鍛えたり、方法はいろいろあるがそれでも人は転ぶ。それならば転倒をいち早く検知してリスクを減らせばいいというわけで、転倒検出機能の研究開発に取り組む企業や組織が増えている。その1つがAppleというわけだ。 キヤノンの子会社でスウェーデンに本拠地を持つセキュリティメーカーのアクシスコミュニケーションズは、自社ブログの記事「信頼性の高い転倒検知を実現する5つの戦略」の中で、転倒検知のトレンドとして、物理的モニタリング、ビデオモニタリング、圧力センサーとモーションセンサー、インテリジェントホームモニタリングシステム、ウェアラブルな転倒検知器の5つを挙げている。 そして、人の目による物理的モニタリングを除く4つのジャンルで急速に技術が進化している。背景にあるのはスマートフォンなどデジタルデバイスを持ち歩けるようになったことや、センシング技術の進化、転倒を判断するAIアルゴリズムの開発などだ。
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