• 10/12/2022
  • Homesmartjp
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Zoomとはどんな企業なのか 中国生まれがつくった「中国らしくない会社」 次世代中国

ユーザーは数カ月で20倍

 新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、在宅勤務や遠隔授業、友人間のコミュニケーションなどに急速に普及しているのが、オンライン会議システムのZoom(ズーム、本社・米国カリフォルニア州サンノゼ市)である。

Zoomとはどんな企業なのか 中国生まれがつくった「中国らしくない会社」 次世代中国

 2019年末のユーザー数は世界で1000万人ほどだったが、2020年3月には2億人と、数カ月で20倍にも増えた。一方でセキュリティの脆弱性が明らかになり、政府機関や一部企業が使用禁止にするなどの問題も起きている。とはいえ、ナスダック上場の同社の株価は、2割ほど下落したものの、1年前の株式上場時と比べて4倍近い水準を保っており、ユーザー数の増加も目立った衰えは見えない。

 Zoomを創業したのは中国山東省で生まれ、大学卒業後、米国にわたり、その後、米国籍を取得したエリック・ユエン (Eric Yuan、袁征、以下敬称略)という人物である。ユエン自身、現在は米国人ではあるが、中国で大学教育を受け、渡米の時点では英語がまともに話せなかった。製品の開発拠点は中国にあり、エンジニアの大半は中国人という企業である。

 しかし、調べてみると、その経営は一般的な中国企業とはかなり異質だ。そして、その中国企業との違いが、そのままZoomの競争力の核心になっている。これは中国で育ちながら米国で起業し、米国の魅力に惹かれて国籍を変えたユエンのパーソナリティによるところが大きいと思われるが、いわゆる「IT投資バブル」が消滅し、厳しい時代に入りつつある中国企業が抱える問題点と、Zoomの成長ぶりは鮮明な対比をなしている。

 今回は日本国内でも人気のツールとなりつつあるZoomの生い立ちと経営に対する考え方を入り口に、中国人的発想や中国企業の経営について考えてみたい。