• 19/12/2022
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iPad「賢くなるための道具」と徹底する学校の秘策 保護者とも連携、レベルアップ型ルールの効用

iPad「賢くなるための道具」と徹底する学校の秘策 保護者とも連携、レベルアップ型ルールの効用

「システムづくり」により教員の意識改革を実現

写真:東洋経済education × ICT

コロナ禍で前倒しとなったGIGAスクール構想により、「1人1台端末」とネットワーク環境が整備されたものの、運用や活用法などさまざまな課題と向き合いながら模索を続ける学校が多いのではないだろうか。埼玉県さいたま市の私立小学校、学校法人佐藤栄学園さとえ学園小学校はGIGAスクール構想に先駆け2018年から全児童が1人1台端末を所有し、ICT教育を推進してきた。同校では「『私立だからできる』のではなく、公立校のモデルになるICT環境を」というビジョンを打ち出し、ICTのスキルとモラルの両方を向上させる独自のルールを策定。保護者向け研修会なども開催し、家庭との連携も進んでいる。同校教員でカリキュラムマネージャーを務める山中昭岳氏に、公立小でも実現可能なGIGA推進の極意について聞いた。この記事の画像を見る2018年7月からセルラー型iPad mini(以下、iPad)約500台を全学年に一斉導入し、1人1台のタブレット環境でのICT教育をスタートさせた、さとえ学園小学校。このプロジェクトのリーダー的存在である山中昭岳氏は、公立小、国立小、私立小勤務を経て16年、同校に着任した。「本校の児童は全員が中学受験を目指すこともあり、ICTを活用した『アダプティブラーニング』の実現が必要不可欠でした。着任後、1人1台端末の導入に向け校内でICT専門部会を立ち上げたのですが、もともと公立小教員だったこともあり、『“私立だからできる”のではなく、予算や運用面を含め日本の教育機関が当たり前に実現できるようなICT環境、公立校のモデルになるようなICT環境をつくろう』をビジョンに掲げました」山中氏が最初に行ったのは、教職員によるICT専門部会のメンバー編成と、コミュニケーションツールの導入だ。「ICT専門部会のメンバーは8名で構成しました。私も公立校時代に経験があるのですが、多くの公立小では、ICT担当教員は1、2名で負担が大きいものです。チームとして“ゼロイチ”を実現するためには、少人数よりもある程度の人数が必要であると考えました。メンバー構成については『ICTに長けている』というよりは、『コミュニケーション能力が高い』『反対意見をしっかり述べてくれる』などに加え、ベテランの先生で『ICTを使わなくても充実した授業ができる』というような、当時はICTに懐疑的だった先生にも入っていただくなど“多様性”を重視しました」教職員全員の情報共有ツールとして「Slack」を導入。業務に加えささいな日常会話なども共有することで心理的な安心感を保ちながら、端末やシステムの検討、職員研修など、準備を進めていったという。「周りの先生たちに『自ら意識を改革して進めてください』と、ただ声をかけるのではなく、教職員がつねに端末を使う機会をつくり、全員で同じ情報を共有しながらいつでも誰にでも聞けるシステムをつくることで意識を改革し、“チーム”として動き出すことができました」

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